フォーク(Folk)

 

メッセージ・ソングとして必然だったフォーク・ミュージック

フォーク・ミュージックとは

2016年、かのボブ・ディランが「ノーベル文学賞」を受賞し、世界中の音楽ファンの中ではその話で持ち切りとなった。

賛否両論が飛び交ったその受賞ではあるが、一音楽ファンとしてはとても嬉しい気持ちになった。

なぜなら、ボブ・ディランが積み上げてきた音楽の世界、とりわけその歌詞の世界が文学的に認められたようなものだからだ。そしてそんな音楽のジャンルとして『フォーク・ミュージック』というものが存在する。

 

一般的にフォーク・ミュージックというと、20世紀半ばのアメリカを発祥とするアコースティックな楽器によるフォーク・ミュージック・リバイバルという動きから始まっているものを指すようだ。

以前の民謡などと区別するために「ニュー・フォーク」という呼び名もある。

確かにフォーク・ミュージックというものの中心はそこにあって、1960年代のプロテスト・ソングからその左翼的な歌詞やアティテュードに影響を受けて、世界的にムーブメントとなり、後のロックにおける反骨的なスタイルを作っていったという流れはポピュラー音楽界の歴史において押さえておかなければならない。

 

音楽的には、基本的にアコースティックな編成でフォーク・ギターやアコースティック・ギター、バンジョーやウッドベースがメイン楽器となるが、これは『カントリー』のところでも書いているように、これらの両ジャンルは似通っていて多くの共通した部分がある。

大きな違いはその音楽での表現方法や精神的なアプローチといったところだろうか。

カントリーは伝承的で素朴な歌やカバーなどが多く、日々の生活における慰安的な要素が多いが、フォークはもっと自分を主張して個人的にも社会的にもメッセージとして発する部分が強い。

ミュージシャンが白人が多いというのもカントリーと重なるが、アメリカの開拓や人種差別といった歴史が関係しているのは言うまでもなく無視することは出来ない。

 

また日本では、1960年代にボブ・ディランの「風に吹かれて」やキングストン・トリオの「トム・ドゥーリー」が世界的なヒットとなったタイミングでフォーク・ブームがやってきて、その後いろんな形で浸透し、多くのヒット曲も生まれて、確固たる一つのジャンルとして築かれた。

 

《フォークの源流》

先ほど書いたように、フォーク・ムーブメントの中心は20世紀半ばのアメリカである。

1930年代にジョンとアランのローマックス親子が議会図書館の依頼を受けて、南部の民族音楽の収集を始めた。(フィールド・レコーディング)

そこには宝のようなたくさんの音楽があり、レコードなどの録音技術も発展していったことで、後のポピュラーミュージックに影響を与えるものが山のようにあったのである。

労働歌、フィールド・ハラー、ブルース、ホーボーソング、マウンテン・ミュージック、宗教歌、そしてフォークソングの民謡など。

ではその起源はどこにあるのか?

 

まずアメリカ文化の特徴として、近代文明に対してのアンチテーゼという姿勢が底流にある。ビートニクやヒッピーという文化はその典型だ。

それから『フォーク』のそもそもの意味を考えると、”部族や民族の口伝継承”といったところにたどり着く。

そして20世紀半ばのムーブメントはアメリカにおける公民権運動やベトナム戦争などの社会情勢に対して問題意識を持ち、よりわかりやすいプロテストソングにすべき原点に帰るという意味合いも含んでいた。

つまり、よりルーツに回帰するというその動きは、カントリー・ミュージックからオールドタイムへ、さらに元はヨーロッパの移民がもたらしたマウンテン・ミュージックへと近づいていく。

白人移民が入植したアパラチア山脈の音楽は、原住民や黒人との交流もあって、ワーク・ソングやブルース、ゴスペルなどの影響を受けて民謡やバラッドといったフォークソングと融合されていった。

だから本来はこの19世紀の終わり頃〜20世紀の始めの時期に、後のフォーク・ミュージックの土台はあったのである。

その代表的なミュージシャンがレッド・ベリーであって、アフリカ系アメリカ人ではあったが、いろんなジャンルや要素を取り入れて20世紀初旬にはフォークギターを掻き鳴らして歌っていたのである。

レッド・ベリーはアフリカ系アメリカ人であるため、一般的にはブルースに区分されやすいが、後年にはウディ・ガスリーやピート・シーガーと師弟関係にあったように、フォークの先駆者として伝えるべきだと思うのである。

そしてそんなウディ・ガスリーが死の直前に病床に伏していた頃、若き日のボブ・ディランが何度も訪れて敬愛するガスリーに対して「私の最後の英雄」だと言ったのは有名な話である。

彼らに共通していたのは恋愛の歌などではなく、社会や政治などの世の中に対してのプロテスト・ソングを歌い、左翼的で反体制的な内容であった。

そしてそんなスタイルこそがフォーク・ミュージックとして確立されていったのである。

 

《エレクトリックへの変化〜ブリティッシュ・インヴェイジョンの影響》

1960年代に始まったフォーク・ムーブメントは当初はアコースティックな楽器を使うのが主流であったが、1964年、ビートルズがアメリカにやってきて、そこからアメリカのフォーク・ミュージシャンたちはアコースティックだけでなく、エレクトリックな楽器を使うようになった。

まさに飛ぶ鳥を落とす勢いの”ブリティッシュ・インヴェイジョン”の影響をモロに受けたのである。しかし、エレクトリック楽器を使い始めたボブ・ディランなどは「裏切り」のレッテルを貼られる。なぜなら商業主義的な象徴であるエレクトリック・ギターがファンにとっては許せなかったからである。

しかし皮肉なことにそんなエレクトリックなバンド・サウンドは流行りだして、どんどん人気が上がっていった。そしてここから『フォーク・ロック』なるジャンルが誕生する。

 

 

フォークにおける重要なミュージシャン

※以下《重要なミュージシャン》は名前をクリックすると個別ページあります。

・【Lead Belly(レッド・ベリー)
・【Chris Bouchillon(クリス・ブシロン)
・【Elizabeth Cotten(エリザベス・コットン)】
・【Clarence Ashley(クラレンス・アシュリー)】
・【Lesley Riddle(レズリー・リドル)】

 

・【Woody Guthrie(ウディ・ガスリー)】
・【Pete Seeger(ピート・シーガー)】
・【Doc Watson(ドク・ワトソン)】

 

 

 

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