Blind Blake(ブラインド・ブレイク)

(出典:On Milwaukee

”驚異のラグタイム・ブルースギター” ブラインド・ブレイク(Blind Blake)

ブラインド・ブレイク。

正直言って彼の記事を書くことには少し抵抗がある。というと誤解を生みそうだが、僕はブラインド・ブレイクが好きじゃないということでは決してないのでまず伝えておきたい。

むしろ逆で、僕なんかが彼の記事を書くのが恐れ多すぎるということなのだ。

なぜなら、盲目だったブラインド・ブレイクは、1920年代に登場した多くのカントリー・ブルースマンの中で圧倒的に別次元のギターを弾き、且つ現存している写真もたった一枚しか無いと言われている、あまりにも謎の多いそんな秘匿性が、さらにコアな、いやマニアックな多くのファン(信者?)を生み出しているような存在だからである。

その上手さゆえに、いまだに”史上最高のアコースティック・ブルースマン”と言われているくらいなのだ。

つまり、僕みたいなルーツミュージックをカジッた程度の人間が記事を書くことがおこがましいのではないかという気持ちになってしまう。

ただ、だからといって、戦前ブルースの重要なキーマンである彼の記事を書かないというのは、このサイト自体の統一性にも関わってくるので、そこは赦し願いたいと思う。

よって他のミュージシャンへのアプローチと同じ立ち位置で書くつもりなので、よりマニアックな情報が欲しければ、他のサイトなりで学んでもらうことを願いたい。

 

ブラインド・ブレイクの凄さ

先ほども書いたが、ブラインド・ブレイクの何が凄いってやはりギターのテクニックである。

厳密に言うと、ジャンルとしては『ブルース』に入れてはいるものの、ブラインド・ブレイクが有名になったのはラグタイム・スタイルのとんでもないギターを弾いていたからだ。

楽器はアコースティック・ギターの弾き語りで、スタイルもピードモント・ブルースが近いが、やっていた楽曲はラグタイム調のものが多い。

 

このサイトではスコット・ジョプリンを筆頭とする『ラグタイム』というジャンルは『ジャズ』に取り入れているので、それならばブラインド・ブレイクも『ジャズ』に入るのではないか?と思われるかもしれない。

しかし、ブレイクはもちろんブルースもやっており、演奏スタイルがアコースティック・ギターの弾き語りなのでジャンルは『ブルース』に入れることにした。まあ、一般的にもカントリー・ブルースの括りに入れられるミュージシャンであることも付け加えておきたい。

 

で、何が凄いかというと、彼が登場するまで誰もやっていなかった、ラグタイム・ピアノをギターに置き換えて弾くようになったからである。

ラグタイムって元々リズムが少しズレた調子で、そこにシンコペーションが加わったりで、跳ねた感じのリズム感も要求されるのでそんなに簡単なピアノではないのだけど、なんとそれをギターに置き換えてしまったから周りの人間達もビビったことが想像できる。

ブレイク本人もラグタイム・ピアノが弾けたらしく、そのような離れ技が出来たのだろうけど、当時の常識では考えられなかったようだ。

曲を聴いてもらえばわかると思うが、ギターのベース音と高音を一緒に弾いていて、そのスピードがとにかく速い。

さらにその中でピッキングのタッチや一定のリズム感やミュートなど細かな部分にまで、安定したギターのテクニックがあって、実際後に影響を受けたブルースマンやギタリストたちも、彼の域にまでは達せなかったと言われている。

ちなみにブレイクの影響を公言しているブルースマンに、レヴァランド・ゲイリー・デイビス、ビッグ・ビル・ブルーンジー、タンパ・レッド、ブラインド・ボーイ・フラー、そしてライ・クーダーなどそうそうたるメンツがいて、もちろん他にも多くのフィンガー・ピッキングギタリストたちが影響を受けているだろう。意外なところでは、レッチリ(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)のジョン・フルシアンテもリスペクトしている。

まあこのあたりは僕が口で説明しても、なかなか実感してもらうのは難しいかもしれないが、実際にギターを弾いている人ならどれほど凄いかがわかると思う。

そして、その上ギターのセンスが良いのである。ラグタイムだけでなく、ジャズのセッションなんかも出来たブレイクはジャズミュージシャンともよく一緒にやっていたようだ。

つまりは、何でも器用にこなせて上手い天才的なギタリストであったことは間違いないようである。

そして忘れてはならないのが、盲目であったにもかかわらずということ。

 

ブラインド・ブレイクってどんな人だった?

これもいろんな情報を参考にさせてもらって少し書いてみたい。

1896年 フロリダ州ジャクソンビル生まれ

最初のレコーディングは1926年のパラマウント・レーベルである。このときブラインド・レモン・ジェファーソンと双璧と呼ばれた。

アメリカ東南部出身のアフリカ系アメリカ人のことを”ガラ”と呼び、ブラインド・ブレイクもその方言なんかを使っていたようだ。※(録音にも入っている)

その若き才能が記録されているのが、1926年〜1932年というたった6年の話で、この期間にその伝説的な録音を残している。

しかし酒好きだったブレイクは、晩年は飲み過ぎで体調やコンディションが悪く、決して良い状態でその音楽を残せていないというブルースマンにありがちな悲しい側面も持っている。

人柄は例のたった一枚の写真が映し出しているように、明るく朗らかな性格だったようだ。

生まれつきの盲目であったにもかかわらず、いや、だからこそなのかわからないが、その誰にもマネの出来ないギターとプレイスタイルは、彼の存在を後世まで伝え継がれるべき圧倒的なものを持っていた。

そんなブレイクに憧れ、リスペクトならず崇拝するレベルにまで達しているコアなファンやミュージシャンが実はこの日本にも何人もいるのだ。

ここでは有名な御三方を紹介しよう。

1.Akira Blake Kikuchiこと菊池 明氏 ⇒ 戦前ブルース音源研究所

2.打田十紀夫氏

3.有山じゅんじ氏

 

この3名の方たちは、日本で戦前ブルースを語る上で外せないのでぜひ押さえておきたいレジェンドたちだ。

 

 

曲紹介

ブラインド・ブレイクの活動した期間は短かったけれども、その間に残した曲には名曲が多いし、ギター的にも重要なものが多いので、外すのを考える方が一苦労だ。

このサイトでは個人的に好きなものを優先したいのはやまやまだが、ブレイクを有名にして、しかも今なおたくさんのフォロワーがいるようなラグタイムの曲も取り上げないワケにはいかない。

ただ、よく言われているように晩年はアル中でそのパフォーマンスが落ち気味だったこともあって、良い時とイマイチの時の差が大きいかなとも思う。

そのあたりを加味したランキング形式で紹介していきたい。全20曲となった。

 

代表曲ランキング

20位:Rope Stretchin’ Blues(1931年)




これは1931年リリースの少しマイナーな音使いのある変わったイントロから入る曲。

一説では1930年以降はブレイクがアル中になるくらい酒の飲み過ぎで、体調も悪く、ギターの腕前も鈍くなっているとのことであるが、うーむ、言われるとまあ確かに26年〜29年くらいの手がつけられないバケモンみたいな感じではないかなとは思う。
しかし飲み過ぎたらギターのパフォーマンスが落ちるというのは、僕自身も経験しているのでよくわかる話ではあるな。

重要度 3.0
知名度 3.0
ルーツ度 3.0
好み 3.0
総合 3.0

 

 

19位:C. C. Pill Blues (1928年)

1928年にブレイクがシカゴで行った珍しいセッションから。幽霊みたいなスライド・ホイッスルをジミー・バートランドが、ジャズのクラリネット奏者ジョニー・ドッズがコルネットを吹いているのだが、なんだろうか、この時代にしては前衛的な感じのする自由な感じのセッションだ。ライ・クーダーもぜひ聴いたほうがいいと言っていたが。

当時シカゴではこうやってよくブルースやジャズ、ジャグバンドなんかが一緒にやっていたから、ジャンルを超えて交流があったみたいだ。

しかし僕はやっぱり個人的にこのスライド・ホイッスルの音はあまり好きじゃない。なんか邪魔しているようにしか聴こえないからだ。あなたはどうだろうか?

重要度 3.5
知名度 2.5
ルーツ度 3.5
好み 3.0
総合 3.0

 

 

18位:Depression’s Gone From Me Blues(1932年)




1932年6月、ブレイクの最後の録音と言われている一曲。そう言われるとなんだか少し物悲しくなってきてしまうのだが、曲自体もスローで、得意のノリノリのラグタイムと比べると大人しい感じもする。

ギターも全然弾きまくっていないので、らしくないと言えばそうなのだが、体調は決して良かったワケじゃないのだろう。だからなのか少し演奏が粗い。

元曲が「Sitting On The Top Of The World」のようで、確かに同じメロディラインではある。

重要度 3.0
知名度 3.0
ルーツ度 3.0
好み 3.0
総合 3.0

 

 

17位:Guitar Chimes( 1929年)




イントロはなぜかハーモニクスで始まるスローなインストのブルース。※ハーモニクスの音ってなんか最近の時代のような感じがして妙な違和感があるけど、これって僕だけだろうか?(※ハーモニクス:キーンキーンっていう弦楽器の高い音。倍音とも言う。)

遅いテンポなのであまり弾きまくっている感はない。なんというかギターの教科書的なフレーズが並ぶ、とてもわかりやすい演奏でこういうのも珍しいかも。最初にブレイクのギターをコピーするのにちょうど良いかもしれない。

重要度 3.0
知名度 3.5
ルーツ度 3.0
好み 3.0
総合 3.0

 

 

16位:Stonewall Street Blues(1926年)




これもスローなブルースである。イントロのギターからブレイクのヴォーカルが入ってしばらくそのままスローブルースなのだが、途中で急に倍ぐらいにスピードが上がる。しばらくして元に戻り、また倍速になる・・・。なんとも不思議な展開としか言いようがないが、その早い部分は急にラグタイムみたいになるのである。

聴けばわかるが、最初は「え??」と戸惑ってしまうくらいに違和感があるはずだ。まあ、その変態っぽさも含めてこれも”ブラインド・ブレイク”と言うしかない。

重要度 3.5
知名度 3.5
ルーツ度 3.0
好み 3.5
総合 3.5

 

 

15位:Too Tight Blues(1926年)




明るめのホクム・チューンで、歌詞もそこそこ卑猥な?感じの曲。全体的にシンプルな歌モノだけど、少しブギーっぽいノリもあってカッコいい。

このブレイクのギターのリズム感ってやっぱり凄くて、1本で弾いているけど、ベース音と高音のバランスが良いから、厚みを持ったまま流れるようにバックで鳴っていて、何ていうかバンドが出しているようなグルーブを感じる。

重要度 3.0
知名度 3.5
ルーツ度 3.0
好み 4.0
総合 3.5

 

 

14位:Dry Bone Shuffle( 1927年)




Dry Bone(骨の楽器)を終始カチャカチャ鳴らしているラグタイム・ブルース。この曲にはいわゆる”ハヤマワシ”疑惑があって、ただでさえかなり速く難しそうなギターがさらに回転数を速く録音されている可能性がある。

つまり、聴くと何度も出てくるブレイクの語り口調の声がやたらと高いことに気づく。本当はもっと低い=遅い回転数のはずだからである。ギターのバッキングもなんか必要以上に速い気がして、なるほど確かにハヤマワシの疑惑があるのだ。

このあたりは先述した『戦前ブルース音源研究所』の菊池さんが詳しく、何度も提起されていたことである。

で、ちょうどtake3というのがYouTubeでアップされていて、おそらくはこのスピードが正しいのだと思うので聴き比べてみて欲しい。

重要度 3.0
知名度 3.5
ルーツ度 3.0
好み 4.0
総合 3.5

 

 

13位:Skeedle Loo Doo Blues (1926年)




これもブレイク節炸裂なナンバーで上手さが際立っている。アップテンポでスキャットな歌がさらにノリを醸し出している。この曲には途中何度かギターのアドリブっぽいソロが入っていて、それもなんか独特のフレーズで、エンディングの終わり方も(?)が付くようななんとも言えないブレイクにしか出せないようなギターフレーズで終わっていておもしろい。

しかし本当にこんな速いリズムなのに安定していて、歌を乗せる余裕があるのがやっぱり凄いと思う。

重要度 3.5
知名度 3.5
ルーツ度 3.5
好み 3.5
総合 3.5

 

 

12位:Early Morning Blues (1926年)




スローなラグタイム・ブルースの代表曲。ブラインド・ブレイクの最初のレコーディング曲である。

テンポが速くないので簡単そうに聴こえるけど、シンコペーションが効いたゆったりとしたリズムは安定させるのが難しい。しかも歌いながら弾いているので、テンポで走ったりすればすぐにリズムが崩れるので、そのあたりも考えると決して簡単ではない。

重要度 3.5
知名度 4.0
ルーツ度 3.5
好み 3.0
総合 3.5

 

 

11位:Chump Man Blues (1929年)

好きな曲。少し専門的な話になるが、ギター弦のチューニング(音調)で、おそらく6弦だけ1音低いドロップDというチューニングをしている可能性がある。なぜなら、曲のキーが珍しくDなので、このフレーズを弾こうとすると、そうした方が都合がいいからだ。まあ、実際のところはわからないがそのチューニングによって特にベース音がしまった感じになる。

この曲もレコードの回転数が怪しい一曲で、やけに遅い編集をしてあるバージョンもあるのだが、なんかフランケン・シュタインみたいな歌い方になっているのですぐわかる(笑)。

重要度 3.5
知名度 3.0
ルーツ度 3.5
好み 4.0
総合 3.5

 

 

10位:Southern Rag (1927年)




ブラインド・ブレイクの代表曲の一つ。このギターは特に右手のピッキングが速くてなかなかマネは出来ない。喋りにもリヴァーブがかかっていて斬新だ。よく聴くと、確かにストライド・ピアノをそのままギターに移し変えたような感じがわかる。やはり凄い。

先述したが、レッチリのジョン・フルシアンテはこの曲がお気に入りらしく、彼の風変わりなセンスの良いギターフレーズのルーツの一つとしてこのブレイクの影響もあるのだろう。

重要度 3.5
知名度 3.5
ルーツ度 3.5
好み 3.5
総合 3.5

 

 

9位:Georgia Bound (1929年)

明るめで少し陽気な感じのラグタイムで、メロディックなブレイクのヴォーカルが乗っかってくる好きな曲。

しかしなんかこの曲はやたら”歌モノ”っぽい要素があって、最初に聞いたときに他の曲とは違う印象を受けた。本当にブレイクが作った曲なのかな?

もちろん、かといってギターが大人しいということではなく、特にソロでは独特なリズムがあったりして、ブレイク本人の感覚でやっているのが凄い。この動画も上手く編集してあっていい感じ。

重要度 3.5
知名度 3.0
ルーツ度 3.5
好み 4.0
総合 3.5

 

 

8位:Slippery Rag (1929年)




これは珍しいが、アレックス・ロビンソンというピアニストとの共演。

しかしこれでもか、というぐらいにまた速いラグで、ギターもブッ飛んでいる。なんかアドレナリンが出てしまいそうな勢いのある曲でカッコいいし、ブレイクのギターの凄さが改めてわかる。やはりとんでもないわ、この人。

重要度 3.5
知名度 3.0
ルーツ度 3.5
好み 4.0
総合 3.5

 

 

7位:That Will Happen No More (1927年)




この曲は「Dry Bone Shuffle」 と同じ時にレコーディングされたようで、カチャカチャ骨の楽器が鳴っている。それでリズム感も出ているが、なんと言ってもこのギターはいい!聴いていても楽しそうだし、弾けたら(弾けないけど)もっと楽しいだろうなーなんて思わせられる一曲だ。

まあこの曲だけじゃなく、ブラインド・ブレイクの曲はギターやってたら弾きたくなる曲が本当に多いので、皆さんがハマるのはとてもよくわかる。

重要度 3.5
知名度 3.0
ルーツ度 3.5
好み 4.0
総合 3.5

 

 

6位:Hastings Street(1929年)




この曲はデトロイトのブギウギ・ピアニストであるチャーリー・スパンドとのセッションによる名演。

ブラインド・ブレイクというと、やっぱりラグタイムなどのイメージがあるし、代表曲などもそういうのが多いが、ここでは一味違ったブギウギの一曲をランクインさせたい。

インストものではあるが、途中の喋りもギターもブレイク本人である。こんなギターも弾くんだと相変わらずの懐の深さに関心するも、ブレイクのリズム感が凄くて、チャーリー・スパンドのノリの良いピアノにバッチリハマっているし、チャーリーの良さをかき消さないような見事なアレンジだ。

これはパラマウントからのリリースであるが、二人は他にもウィリアム・エゼルやパパ・チャーリージャクソンたちと『パラマウント・オールスターズ』なんかでも共演していて、息はピッタリだったようである。

重要度 3.5
知名度 3.5
ルーツ度 3.5
好み 4.0
総合 3.5

 

 

5位:Police Dog Blues (1929年)




これはライ・クーダーを筆頭にたくさんのミュージシャンがカヴァーしている名曲である。それらの影響もあって、曲自体が結構有名になってしまっている。典型的なラグタイム・ブルースで、まさにブラインド・ブレイクって感じの曲。

途中で入るギターのハーモニクスや単音弾きもカッコいい。

と思いきや、YouTubeでとんでもないものを発見⬇

 

この子13歳らしい・・・。うーむ、何も言葉が出て来んわ。

重要度 3.5
知名度 4.0
ルーツ度 4.0
好み 4.0
総合 4.0

 

 

4位:Blind Arthur’s Breakdown (1929年)




ブラインド・ブレイクと言えば外せない曲。アタマから最後までブレイク節満載のラグタイム・ブルースのインストである。

後のミュージシャンたちへの影響もかなりあるだろう秀逸な一曲で、プロ・アマ問わずたくさんの方がカヴァーに勤しんでいる曲でもある。皆さん仰るのが、なかなか完コピは出来ないということで、ブレイク独特のリズム感やギターへのタッチはかなり難しいらしい。

確かにギターを弾く者からすると、普通にワケがわからないくらいに難しそうで、フィンガー・ピッキングの技術がある程度はないと全く歯が立たないような曲だ。ちなみに僕は全然無理(泣)。

そしてやっぱりブラインド・ブレイクのこの曲を紹介するのであれば、この人を紹介しないわけにはいかない。上でも紹介しているが、『戦前ブルース音源研究所』の菊池明さんである。YouTubeにもアップされていて、本人は謙遜されているがさすがにメチャ上手い。

もはやこのへんのランキング5位以内の順位は、どの曲でもほとんど変わらないくらいの完成度だ。

重要度 4.0
知名度 4.0
ルーツ度 3.5
好み 4.0
総合 4.0

 

 

3位:Diddie Wa Diddie (1929年)

代表的な曲。いやーしかし相変わらずの上手さである。こんなギター弾くだけでも凄いのに歌まで歌っているのでやっぱりバケモノだ。なんせギターを弾く指の動きは速いし、かといってリズムやタッチが乱れないからたまらない。

とはいえ、実は結構やっている人も多く、この手のフィンガー・ピッキングが得意な人にとっては、そこまで難しくないのかもしれない。ライ・クーダーもカヴァーしているし。

ただでもやっぱり本人の域に達するのはそんなに簡単なことではないとも思う。あくまでも勝手な解釈ではあるけど。

まあ、何にしても好きな曲には違いない。

重要度 4.0
知名度 3.5
ルーツ度 4.0
好み 4.0
総合 4.0

 

 

2位:Come On Boys Let’s Do That Messin’ Around (1926年)




これもブレイク節炸裂な感じのラグタイムナンバー。冒頭から始まるアップテンポなギターが早くもいきなり難しそうな雰囲気を醸し出している。

スキャットが入っていてジャズっぽさやブルースのようなコード進行もあって、ルーツ・ミュージック感満載な一曲。個人的に大好きだ。

ブレイク一人でもこれだけのタイム感やノリがあっていいが、『tuba skinny』というニューオリンズのストリート・バンドがカヴァーしていて、またこれがディキシーランドっぽくてノリが良くていい感じだ。

重要度 3.5
知名度 3.5
ルーツ度 4.5
好み 4.5
総合 4.0

 

 

1位:West Coast Blues (1926年)




ランキング1位はこれ。ブラインド・ブレイクにとってはかなり有名な曲の一つでヒットもしている。

このラグタイムギターに影響を受けたギタリストはたくさんいるだろう。最初期の1926年リリース後、その凄まじいテクニックに当時も皆が度肝を抜かれたそうだ。

その難しさの話ばかりになるが、ラグタイム〜ジャズっぽい要素ってやっぱりかなり洗練されたセンスの良い音になっている。このギターも軽快なリズム感があって、ベース音と高音フレーズのバランスがとても良くてカッコいい。内海利勝さんなんかもカヴァーしていて、それもまたシャレている。

とにかくこの曲を聴くと、「さらっとラグタイム・ギター弾きたいな〜」なんて思わせられるまさにこれぞブラインド・ブレイクとも言える名曲だ。

重要度 4.5
知名度 4.0
ルーツ度 4.0
好み 4.0
総合 4.0

 

 

 


というわけでブラインド・ブレイクは戦前のカントリー・ブルースマン、いやルーツミュージシャンとしてその存在と後への影響力は凄いものがあった。まさに伝説と言えると思う。

元々はラグタイムのギターというスタイルが、あまりブルースっぽくないというので僕自身も触り程度しか聴いていなかったのだが、今回ブラインド・ブレイクを深堀りしていくと、どんどんその魅力に惹きつけられていくことになった。

まあ僕自身がギターを弾くのでそのあたりの影響はもちろん大きいとは思うが、やっぱりこの時代にこの発想とテクニックは尋常じゃない。しかも歌ってるし。

他のデルタ系のブルースマンと比べると、その洗練された音使いは時代を先取っていたのだろうし、そこからピードモント・ブルースなどにも影響が広がっていってるので、ある意味で新流を作り上げた人とも言える。

 

そしてまだまだ謎だらけというのもヒーローらしさを持っている。残された写真が有名な1枚のカットしか無いというのがまた謎を呼び、いまだにその写真の人物はブラインド・ブレイク本人ではないという話も出ている。

これからも世界中の探究家が、真実を追って調べていくのだろうけど、もはや歴史的な人物と化してしまった。

つまり、それだけ魅力があって、皆の知りたいという心をくすぐるような偉大な存在であったということだけは間違いない。

 

P.S. なんとかランキングまで書いてきたが、奥の深さから見ると全然足りていないと思うのでそこはご容赦願いたい。

 

 

その他の曲

・Bad Feeling Blues (1927年)

・Buck-Town Blues(1927年)

・You Gonna Quit Me Blues (1927年)

・Sea Board Stomp (1927年)

・Ramblin’ & Ramblin’ Boa Constrictor Blues (1928年)

・Ice Man Blues (1929年)

 

 

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