Earl McDonald(アール・マクドナルド)

(出典:Discogs

ジャグ・バンドの立役者で史上最高のジャグ・ブロワー アール・マクドナルド(Earl McDonald)

アール・マクドナルドとは

ジャグ・バンドの立役者で3つのジャグ・バンドの結成に関わった重要人物。

以下の3つのジャグ・バンドになる。

【The Old Southern Jug Band(ジ・オールド・サザン・ジャグ・バンド)】録音クレジットは2曲のみ
【The Great Louisville Jug Bands (ザ・グレイト・ルイビル・ジャグ・バンド)】1902年に作った。
【Dixieland Jug Blowers(ディキシーランド・ジャグ・ブロワーズ)】フィドラーのクリフォード・ヘイズ(リーダー)と作ったバンド。たくさんの楽器を使ってジャズっぽい編成で評価も高い。

史上最高のジャグ・ブロワーとの呼び声もある。

 

 

曲紹介(※ユニット別)

ここでは、アール・マクドナルドの参加した各ユニットごとに挙げようと思う。


・【The Old Southern Jug Band】

Hatchet Head Blues(1924年)」最も初期の音源。コルネットやバンジョーとのカルテット
Blues, Just Blues, That’s All(1924年)」アール・マクドナルドのジャグがベース音を安定して出している。すでにテクニックがあったのがわかる曲。

 


・【Clifford’s Louisville Jug Band with Earl McDonald】

Wakin’ up Blues(1925年)」クリフォード・ヘイズがリーダー・クレジットの曲
Dancing Blues(1925年)」ケンタッキーのルイビルはその地理的な要因もあって、ディキシーランド・ジャズの影響を受けている。これもそんな曲。後半に入っているヴォーカルはコーラ・グレイという女性ブルースシンガー。


・【Dixieland Jug Blowers】

Banjoreno(1926年)」かなり重厚な音だが、このレコーディングではジャグやバンジョーを複数使っている。ジャグのベースや裏打ちのリズムは『スカ』の原型のような感じもする。
Love Blues(1927年)」クラシック・ブルースのような曲でホーンセクションやピアノも入っていて賑やかだ。女性ヴォーカルはエリザベス・ワシントン。


・【The Great Louisville Jug Bands】

She’s In The Graveyard Now(1927年)」元々は20世紀始めのノヴェルティソング。「In the Jailhouse Now」というジミー・ロジャーズのバージョンの方が有名であるが、この曲は歌詞を変えていろんなパターンがあるようである。ヴォーカルはアール・マクドナルド自身で上手い。カヴァーも多く、ルーツ・ミュージックの代表的な曲。
Casey Bill(1927年)」アール・マクドナルドのリーダーバンドということもあって、結構やりたい放題だ。ヴォーカルもそうだし、間奏に入るジャグの吹き方も自由にやっている感じ。ノリがあって踊りやすい曲。


・【with Jimmie Rodgers】

My Good Gal’s Gone Blues(1931年)」ジミー・ロジャーズをゲストに迎えての共演。さすがにオールド・タイムな曲だが、しっかりとジャグが入っていて面白い。白人とアフリカ系黒人が共演ということで歴史的にも重要な曲である。

 

 


ジャグ・バンドの発祥地はケンタッキー州のルイビルと言われているが、アール・マクドナルドはまさしくルイビルの出身で、ジャグのスタイルを形成した一人である。

アールは1905年にジャグを使い始め、初期のジャグ・バンド・ムーブメントの火付け役となってラジオなど幅広い活動で尽力した。

フィドラーのクリフォード・ヘイズとはギャラの問題とかいろいろと反りが合わなかったようだが、この頃のジャグ・バンドの形成には2人とも不可欠であった。

また、上記の曲紹介のように2人とも当時のルイビルのいろんなジャグ・バンドに顔を出しすぎているのでなんだか収集がつかないような感じになってしまっている。バンド名も似ているし演者もかなりカブっているので、ほとんど同じようなメンバーでノリで次から次へとバンドを組んでいたのだろう。でも本当に楽しんでやっている感じが伝わってくるのが素晴らしい。

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